土地活用のプランを複数社から取り寄せたときの比べ方 事業収支計画の見方とチェックリスト
土地活用のプランを複数の会社から取り寄せたら、まず前提をそろえてから数字を比べます。建物の規模、借入の条件、家賃の想定、空室率、修繕費の見込みが会社ごとに違うと、利回りの数字だけ並べても比べられません。
一括借り上げ(サブリース)を含む提案なら、家賃が見直される条件と、契約が終わる条件も確かめます。国土交通省のガイドラインは、こうしたリスクを契約前に書面で説明するよう求めています。この記事は一般的な情報です。個別の判断は税理士や不動産会社、自治体の窓口などにご相談ください。内容は2026年11月3日に確認しました。
取り寄せる前にそろえる前提
提案を頼むときに条件を伝えておくと、あとで比べる手間が減ります。

- 土地の資料:住所、面積、用途地域、接道の状況、登記事項証明書
- 使える自己資金と、借入をするかどうか
- 何年先まで見た収支がほしいか
- 相続税の評価も比べたいか
- 一括借り上げを希望するか、管理だけ任せたいか
土地の条件の調べ方は相続した土地の使い道の選び方で書きました。同じ資料を渡して複数社に頼むと、提案の違いが土地ではなく会社の考え方から来ていると分かりやすくなります。
事業収支計画の主な項目
提案書の事業収支計画には、少なくとも次の項目が入っているかを見ます。入っていない項目は、会社に追加で出してもらいます。

| 項目 | 見るところ |
|---|---|
| 総事業費 | 建築費のほか、設計料、地盤調査、外構、登記、借入の手数料などが入っているか |
| 借入 | 金額、金利、返済期間、金利が変わる前提か |
| 家賃想定 | 1戸あたりの家賃と、その根拠になった近くの物件 |
| 空室率 | 何%で計算しているか。年数がたつと変えているか |
| 修繕費 | 毎年の小修繕と、外壁や屋根などの大規模修繕の時期と金額 |
| 税金・保険 | 固定資産税、都市計画税、火災保険など |
| 管理費 | 管理委託料、一括借り上げの場合の賃料の割合 |
修繕費は特に会社による差が出やすい項目です。国土交通省の資料「賃貸住宅の計画的な維持管理及び性能向上の推進について」(平成31年3月)によると、長期修繕計画や経営シミュレーションを新築時に示されたら、修繕の部位・周期・内容・費用を確かめられます。提示がない場合は、建設会社や管理会社に確認するのが望ましいとも書いています。
同じ資料は、計画期間の参考として、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の法定耐用年数(住宅用の木造22年、鉄筋コンクリート造47年)などを挙げています。何年分の収支を比べるかも、提案ごとにそろえてください。
利回りは定義をそろえて比べる
利回りには計算の仕方がいくつかあります。東急リバブル株式会社の公式サイトの解説では、代表的なものとして次の2つが挙げられています。

- 表面利回り:年間の収入を物件価格で割ったもの。経費は考えません
- 実質利回り(NOI利回り):年間の収入から年間の支出を引いたものを物件価格で割ったもの
同じ解説は、比べるときには「年間収入の範囲」「物件価格の範囲」「経費をどこまで含めるか」をそろえないと、物差しとして使えないとしています。土地活用の提案では、分母が建築費だけなのか、諸費用まで含めた総事業費なのかを確かめます。満室の家賃で計算しているのか、空室を引いた家賃なのかも見ます。
仮の数字で、違いを見てみます。どちらも年間の満室家賃は1,200万円とします。
表は左右に動かして読めます。
| 仮の数字 | A社の提案 | B社の提案 |
|---|---|---|
| 分母 | 建築費1億5,000万円 | 総事業費1億7,000万円 |
| 空室率 | 見込まない | 10% |
| 年間の経費 | 見込まない | 250万円 |
| 示された利回り | 8.0%(表面) | 約4.9%(実質) |
B社の数字は、1,200万円×0.9から250万円を引いた830万円を、1億7,000万円で割ったものです。A社の数字が高く見えるのは、計算に入れている範囲が狭いためです。同じ条件で計算し直すと、2社の差は小さくなるか、逆になることもあります。
一括借り上げ(サブリース)の契約で確かめること
サブリースは、サブリース業者が建物をまとめて借りて、入居者に転貸する仕組みです。賃貸住宅管理業法は、オーナーとサブリース業者の契約を「特定賃貸借契約」と呼び、28条から36条でサブリース業者への規制を定めています。

国土交通省の「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」のポイントでは、契約前に書面で説明すべきリスクとして次のものが示されています。
- 家賃の定期的な見直しがあり、減額される場合があること
- 契約の条件にかかわらず、借地借家法32条1項によりサブリース業者が減額を請求できること。ただし同法の要件を満たさない限り請求はできず、請求を受けても協議で相当な家賃を決めること
- 契約期間中でも、サブリース業者から解約される場合があること
- 借地借家法28条により、オーナーからの解約には正当事由が必要なこと
国土交通省の賃貸住宅管理業法ポータルサイトは、新築当初の数か月間の借り上げ賃料の支払い免責期間を説明しない行為も、不当な勧誘の例として挙げています。オーナーが負担する修繕や原状回復の費用も確かめておく項目です。
同じサイトは、重要事項の説明から契約までに1週間程度の期間をおくのが理想としています。消費者庁も、契約内容や賃料減額などのリスクを十分に理解してから契約するよう注意を呼びかけています。説明を受けた日にその場で契約せず、書面を持ち帰って読み比べる時間をとってください。
比べる項目のチェックリスト
提案書を並べて、次の項目に印をつけていくと抜けが見つかります。

- 総事業費に、建築費以外の費用がすべて入っているか
- 借入の金利と返済期間が、各社で同じ前提になっているか
- 家賃想定の根拠になった近くの物件が示されているか
- 空室率と家賃の下落を、何年目から何%見込んでいるか
- 大規模修繕の時期と金額が、収支に入っているか
- 固定資産税と都市計画税を、土地と建物の両方で入れているか
- 利回りの分母と分子の範囲が、そろっているか
- 一括借り上げなら、家賃の見直し時期、免責期間、解約の条件が書面にあるか
- 相続税の評価額の試算が、どの通達の前提で計算されているか
相続税の評価の考え方は土地に賃貸住宅を建てると相続税評価はどう変わるか、駐車場の案は相続した土地を駐車場にするときの初期費用と税金で扱っています。
出典
- 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(e-Gov法令検索・デジタル庁) https://laws.e-gov.go.jp/law/502AC0000000060
- 国土交通省 賃貸住宅管理業法ポータルサイト「適正化のための措置」(サブリース) https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/pm_portal/sublease.html
- 国土交通省「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」のポイント(PDF) https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001372797.pdf
- 国土交通省「賃貸住宅管理業法 法律、政省令、解釈・運用の考え方、ガイドラインについて」 https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk3_000001_00004.html
- 消費者庁「サブリース契約に関するトラブルにご注意ください!」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_011
- 国土交通省「賃貸住宅の計画的な維持管理及び性能向上の推進について」(平成31年3月・PDF) https://www.mlit.go.jp/common/001285578.pdf
- 東急リバブル株式会社「不動産投資の基礎 No.4 表面利回りと実質利回り」 https://www.livable.co.jp/fudosan-toushi/propertista/learn/index04.html
いずれも2026年11月3日に確認しました。表の利回りは説明のための仮の数字です。