相続した土地の使い道

アパートの構造で法定耐用年数はどう変わるか 木造・軽量鉄骨・RCと減価償却の考え方

内容の確認日: 2026年11月3日

住宅用のアパートの法定耐用年数は、構造で決まります。木造は22年、鉄筋コンクリート造(RC)と鉄骨鉄筋コンクリート造は47年です。鉄骨の建物は金属造の区分になり、骨格材の肉厚によって19年、27年、34年に分かれます。

法定耐用年数は、税の計算で建物の取得費を経費に割り振る年数です。建物が実際に使える年数ではありません。年間の減価償却費は、取得価額に償却率をかけて求めます。同じ価額の建物でも、構造が違うと毎年の経費が変わります。この記事は一般的な情報で、個別の判断は税理士などの専門家にお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。

住宅用アパートの法定耐用年数

耐用年数は、財務省令の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表第一に定められています。建物は、構造と用途の組み合わせで年数が決まります。アパートは、住宅用の欄を見ます。

2階建ての木造アパート
写真: MC MasterChef / CC BY-SA 2.5(Wikimedia Commons)
構造住宅用の法定耐用年数
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造47年
れんが造・石造・ブロック造38年
金属造(骨格材の肉厚が4ミリメートルを超えるもの)34年
金属造(骨格材の肉厚が3ミリメートルを超え4ミリメートル以下のもの)27年
金属造(骨格材の肉厚が3ミリメートル以下のもの)19年
木造・合成樹脂造22年

同じ構造でも、用途によって年数は変わります。たとえば鉄筋コンクリート造は、事務所用だと50年、住宅用だと47年です。賃貸アパートは、人が住む住宅用の欄に当たります。店舗を併設した建物などは、用途の区分を税理士に確認します。

土地は減価償却の対象にはなりません。国税庁のタックスアンサーNo.2100は、土地や骨とうなどは、時の経過で価値が減る資産に当たらないとしています。建物の代金だけが、償却の対象です。

軽量鉄骨は骨格材の肉厚で区分が決まる

鉄骨造のアパートの広告では、「軽量鉄骨」「重量鉄骨」という言葉がよく使われます。ただし、耐用年数の表にこの呼び方はありません。表の区分は「金属造」で、分かれ目は骨格材の肉厚です。

仕上げ工事中の新しい集合住宅
写真: Syced / CC0(Wikimedia Commons)
  • 肉厚が3ミリメートル以下なら19年
  • 3ミリメートルを超え4ミリメートル以下なら27年
  • 4ミリメートルを超えるなら34年

建築会社の呼び方だけでは、どの区分になるかが決まりません。実際の骨格材の厚さを、仕様書や設計図書で確かめる必要があります。同じ「鉄骨造」のアパートでも、19年と34年では、償却できる期間に15年の差があります。

金属造の中でも、区分の判断に迷うときは、建築会社と税理士の両方に聞いておきます。建築の前に聞いておけば、収支計画の経費の見込みを正しく立てられます。

減価償却費の計算 構造別の比較

建物の減価償却は、定額法で行います。国税庁のタックスアンサーNo.2100によると、平成10年4月1日以後に取得した建物は、旧定額法または定額法のみです。毎年の償却費は、次の式で求めます(No.2106)。

各年の償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率

年の途中で取得したり取り壊したりした場合は、この金額を12で割り、業務に使っていた月数をかけます。償却率は、省令の別表第八に、耐用年数ごとに決められています。

道路沿いに続く大規模な集合住宅
写真: Kentin / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)

構造別に、建物の取得価額が3,000万円の場合の年間の償却費を計算してみます。数字は計算例で、実際の取得価額や使い始めた時期で変わります。

表は左右に動かして読めます。

構造耐用年数定額法の償却率年間の償却費
木造22年0.046138万円
金属造(肉厚3ミリメートル以下)19年0.053159万円
金属造(肉厚3ミリメートル超4ミリメートル以下)27年0.038114万円
金属造(肉厚4ミリメートル超)34年0.03090万円
鉄筋コンクリート造47年0.02266万円

耐用年数が短い構造ほど、毎年の償却費は大きく、経費になる期間は短くなります。耐用年数が長い構造は、毎年の償却費が小さく、長く続きます。どちらが得かは、建築費や家賃、借入の返済、ほかの所得との関係で変わります。償却費だけで構造を選ぶことは、お勧めできません。

償却費は、その年に実際にお金が出ていく費用ではありません。建物の取得費を、耐用年数にわたって経費に割り振るための計算です。

中古で買う場合と相続した場合の耐用年数

重機とトラックが入る建設現場
写真: Guenny / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)

すでに建っているアパートを使い始めるときは、耐用年数の決め方が変わります。買った場合と相続した場合で扱いが違うので、分けて見ます。

中古で買った場合

国税庁のタックスアンサーNo.5404によると、中古の資産を事業に使うときは、法定耐用年数の代わりに、使用可能期間の見積もりによる年数を使えます。見積りが難しいときは、簡便法があります。

  • 法定耐用年数の全部を過ぎた資産: 法定耐用年数 × 20%
  • 法定耐用年数の一部を過ぎた資産: (法定耐用年数 − 経過年数) + 経過年数 × 20%

1年未満の端数は切り捨てます。算定した年数が2年に満たないときは、2年とします。たとえば、築15年の木造(法定22年)なら、(22 − 15) + 15 × 20% = 10年です。築20年の鉄筋コンクリート造(法定47年)なら、(47 − 20) + 20 × 20% = 31年です。

簡便法が使えない場合もあります。国税庁のページには、事業に使うために支出した資本的支出の額が取得価額の50%を超えるときは、法定耐用年数によると書かれています。注記では、この基準が「再取得価額」の50%とされていて、本文の「取得価額」と表現が違います。大規模な改修をする予定があるときは、税理士に確認します。

耐用年数は、その資産を事業に使い始めた事業年度に算定します。算定しなかった場合、あとの事業年度で算定し直すことはできません。

相続した場合

相続で取得した建物は、買った場合とは扱いが異なります。国税庁の質疑応答事例は、相続で取得した賃貸用の建物について、中古資産の見積りによる耐用年数は使えないとしています。被相続人から、取得価額、耐用年数、経過年数、未償却残額を引き継いで、減価償却費を計算します。根拠は、所得税法60条1項と所得税法施行令126条2項です。

償却の方法は、平成19年4月1日以後に取得した建物なら、定額法です。この「取得」には、相続も含まれます。年の途中で相続したときは、月数で割り振ります。国税庁が示す例は、取得価額1,000万円、耐用年数22年(償却率0.046)の建物を、令和7年5月10日に相続したケースです。令和7年分の償却費は、1,000万円 × 0.046 × 8/12 で306,667円となっています。

相続した建物の取得価額は、被相続人の取得価額が基礎になるため、相続税の評価額とは別の数字です。賃貸に使う相続人は、被相続人の確定申告書や、建築時の契約書などを探しておくと、計算がスムーズです。相続した土地に賃貸住宅を建てた場合の相続税評価については、賃貸住宅を建てたときの相続税評価の記事で説明しています。

構造を選ぶ前に確かめること

アパートの構造は、建築費、家賃の設定、修繕の時期、融資の条件、税金など、複数の要素に関わります。耐用年数は、そのうちの一つにすぎません。

埼玉県草加市の中層の集合住宅
写真: Ebiebi2 / パブリックドメイン(Wikimedia Commons)
  • 建築会社が提案する構造の、骨格材の肉厚と、税務上の耐用年数の区分。
  • 構造ごとの建築費の見積もりと、事業収支計画に入れた償却費。
  • 土地の用途地域と、建てられる階数や構造の制約。
  • 金融機関に融資を相談するときの、構造と返済期間の関係。
  • 家賃の設定と、同じ地域の賃貸の需要。

同じ土地でも、構造や建築会社によって提案内容は大きく変わります。複数の会社のプランを並べると、建築費や想定家賃の違いが見えてきます。事業収支計画の読み方と、比較のチェックリストはプランの比べ方の記事にまとめました。

プランを請求する前に、土地の資料をそろえておくと、提案の精度が上がります。必要な資料は請求前の資料の記事で整理しています。

税金の計算は、申告の方法やほかの所得の有無で変わります。償却費を含めた不動産所得の見込みは、建築の前に税理士へ相談して、数字で確かめておくと安心です。

出典

いずれも2026年11月4日に確認しました。

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