相続した土地の使い道

遠方の相続した土地の管理 草刈り・不法投棄・管理の頼み先と空き地条例の見方

内容の確認日: 2026年11月3日

遠方にある相続した土地は、持ち主が草刈りなどの管理を引き受けるのが基本です。自分で通えないときは、市町村の除草の委託制度、シルバー人材センター、造園や植木の業者に頼む方法があります。

空き地の草や樹木は、自治体の条例が所有者や管理者に適正な管理を求めています。ごみの不法投棄は、廃棄物処理法16条で、捨てた人が処罰される行為です。この記事は一般的な情報で、個別の判断は土地の所在地の市区町村の窓口や弁護士などの専門家にお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。

空き地の管理を求める条例は自治体ごとに違う

空き地の雑草を直接定める全国一律の法律はなく、自治体の条例で決められています。北九州市の「あき地等に繁茂した雑草等の除去に関する条例」は、3つの仕組みを持っています。

舗装や区画のない広い空き地
写真: Syced / CC0(Wikimedia Commons)
  • 管理者(所有者、地上権者、賃借人など)は、雑草等が繁茂して放置されている状態を解消するよう努める(2条)。
  • 市長は、状態が著しく美観を損ない、または生活環境の保全等に支障があると認めるとき、管理者に除去を勧告できる(3条)。
  • 管理者は、市長に雑草等の除去を委託できる(4条)。

北九州市のページは、指導の対象に樹木を含めていません。駐車場や畑などの利用地と、居住者のいる土地も対象外です。

ほかの自治体も、条例の名前と中身が違います。大田区は「清潔で美しい大田区をつくる条例」に基づいて適正な管理を依頼し、管理責任は土地の所有者か管理者にあると書いています。長崎市は環境保全条例に基づいて、宅地化された空地の所有者を調べ、草刈りなどの適正な管理を指導しています。西宮市は「あき地の環境を守る条例」に基づき、定期的にパトロールをして、管理が不十分な所有者に改善を求めています。

勧告より先の手続きがあるかどうかは、自治体のページを読んだだけでは分からないことがあります。相続した土地がある市区町村の条例は、市区町村名と「空き地 雑草 条例」で探し、環境や清掃を担当する課に聞きます。

所有者が遠方にいると、自治体が連絡を取るまで時間がかかります。大田区のページには、所有者に行きあたらない場合や、依頼から対応までに日数がかかる場合があると書かれています。大田区のページは、所有者が分からないときは法務局で確認できるとしています。登記簿の住所が今と違うと連絡が取りにくくなるため、相続登記と住所の登記の状況も確かめます。

草刈りを頼む先と費用の考え方

遠方の土地の草刈りを頼む先は、主に3つです。

建物のない広い空き地
写真: JunK / Public domain(Wikimedia Commons)

市町村の除草の委託制度

北九州市は、遠方に住んでいる、除草業者が見つからないなどの理由で自分で除草できない管理者が、市長に雑草等の除去を委託できると案内しています。対象はあき地と空き家で、居住中の住宅の庭、田畑、駐車場などの利用地は対象外です。料金は事前に納める形で、各環境センターに問い合わせます。

西宮市も、所有者の依頼に基づいて市が除草を受託する制度を設けています。料金は市が入札で業者に委託する契約金額と同額で、毎年変わります。申込の流れは、環境衛生課に相談し、現地確認のあと送られてくる申請書を返送し、納付書で支払い、完了時に作業前後の写真付きの完了報告書が届くというものです。受託の有無や条件は市町村ごとに違います。

シルバー人材センター

厚生労働省の資料では、シルバー人材センターは、臨時的・短期的または軽易な就業を希望する高年齢者に就業の機会を提供する団体です。臨時的・短期的な就業はおおむね月10日程度以内、軽易な就業は週20時間を超えない就業を目安としています。請負の形で仕事を受けることがあります。

大田区のシルバー人材センターは除草作業を受け付けていますが、原則として所有者等の立会いが必要とされています。世田谷区のシルバー人材センターは、作業内容や費用は相談が必要で、予約から作業まで約1か月かかると案内しています。遠方の土地では、立会いが要るか、現地の鍵や進入路をどうするかを、依頼の前に聞きます。

造園・植木の業者

大田区は区内の植木業者として大田区緑化推進協議会、世田谷区は世田谷造園協力会の電話番号を載せています。樹木の剪定や伐採は、シルバー人材センターが受けられる範囲に限りがあるため、業者に頼む場面が出ます。世田谷区のページは、シルバー人材センターの剪定を幹の太さ10センチメートルまでの樹木としています。

民間の管理サービスは、会社ごとに内容と費用が違います。見回りの回数、草刈りの回数、写真の報告の有無を比べて、見積もりで確かめます。

不法投棄と所有者の責任

空き地の草が茂ると、ごみの不法投棄につながる事例があると、世田谷区のページは説明しています。

道路沿いの杉林に捨てられた壊れた家電やごみ
写真: Σ64 / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)

廃棄物処理法は、何人もみだりに廃棄物を捨ててはならないと定めています(16条)。違反して廃棄物を捨てた人は、25条で5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方とされています。

土地の所有者に求められているのは、5条にある次の2点です。

  • 占有する土地または管理する土地の清潔を保つように努める(1項)。
  • 所有する土地で他の人が不適正に処理した廃棄物と認められるものを見つけたとき、速やかに都道府県知事または市町村長へ通報するように努める(2項)。

見つけたときは、自分で片づけず、市町村の担当課へ先に連絡します。予防の方法として、大田区のページは定期的な見回り、雑草の早めの刈り取り、警告の看板や柵の設置、防草シートの利用を挙げています。

隣地への影響と裁判所の管理命令

管理されない土地は、隣の土地に影響することがあります。民法233条は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるとき、その竹木の所有者に枝を切除させることができると定めています。竹木の所有者に切除を催告しても相当の期間内に切除しないときや、所有者を知ることができないか、所在を知ることができないときは、土地の所有者が自分で枝を切り取れます。根が境界線を越えるときは、切り取れます。

地面に埋められた境界標
写真: Osumi Akari / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

民法264条の9は、管理不全土地管理命令を定めています。所有者による土地の管理が不適当で、他人の権利または法律上保護される利益が侵害され、またはそのおそれがある場合に、利害関係人の請求で、裁判所が管理人による管理を命じる制度です。

遠方の土地でも、境界や越境の問題が出たときは、隣の人から連絡が来ます。連絡先を市区町村と隣の人に伝えておくと、行き違いが減ります。

管理を続けるか、使い道を決めるか

遠方の土地を何年も管理し続けると、交通費と草刈りの費用が積み重なります。管理の費用を見積もったうえで、先の方針を決めます。

ビルに囲まれた更地
写真: Syced / CC0(Wikimedia Commons)
  • 持ち続ける: 管理の頼み先と費用を決める。
  • 使う: 駐車場や賃貸住宅などの活用を検討する。
  • 手放す: 売却、または相続土地国庫帰属制度を調べる。

相続土地国庫帰属制度は、相続または遺贈で土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能にする制度で、令和5年4月27日に始まりました。対象となる人や土地の要件、負担金は法務省の「申請の手引き」で確認します。山林を相続した場合は相続した山林の記事も参考になります。

使う場合は、複数の会社に土地活用のプランを請求して、収支を比べる方法があります。

使い道の選び方は相続した土地の使い道の選び方の記事に、プランを請求する前にそろえる資料は請求前の資料の記事にあります。

出典

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