相続した土地の使い道

一般定期借地権で土地を貸す 借地借家法22条・50年以上・保証金と地代の考え方

内容の確認日: 2026年11月3日

一般定期借地権は、借地借家法22条で、存続期間を50年以上と決めて土地を貸す仕組みです。契約の更新がなく、期間が終われば土地が戻ります。国土交通省の資料では、期間後は更地で返すことが原則とされています。

更新がないと決めるには、その特約を書面で結ぶ必要があります。公正証書は例として挙げられていますが、条文は「公正証書による等書面」と書いています。この記事は一般的な情報で、個別の契約は弁護士や司法書士、税理士などの専門家にお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。

一般定期借地権の条件は3つの特約と50年以上

借地借家法22条は、存続期間を50年以上として借地権を設定する場合に、次の3つを定めることができるとしています。

戸建て住宅が並ぶ住宅地
写真: NISHIGUCHI,Masahiro (Nisiguti) / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)
  • 契約の更新(更新の請求や土地の使用の継続によるものを含む)がない。
  • 建物を築造しても存続期間が延長されない。
  • 借地人が、期間の満了時に建物の買取りを請求しない。

この特約は、書面でしなければなりません。条文は「公正証書による等書面」と書き、公正証書に限っていません。電磁的記録(電子的な記録)でされたときも、書面とみなされます。

比べてみると、ふつうの借地権の存続期間は借地借家法3条で30年で、契約で長い期間を定めればその期間です。更新後の期間は、最初の更新で20年、その後は10年とされています(4条)。一般定期借地権は、この更新がない点が違います。

事業用の建物に限った事業用定期借地権は、同法23条の別の制度です。期間が30年以上50年未満と10年以上30年未満に分かれ、契約は公正証書でします。事業用の貸し方は事業用定期借地の記事で扱いました。一般定期借地権は、建物の用途を事業用に限らない点が違います。

地主から見た利点と、長く縛られる点

国土交通省の「定期借地権の解説」のページは、土地所有者の側の利点を次のように挙げています。

建物が取り壊されたあとの広い更地
写真: Syced / CC0(Wikimedia Commons)
  • 固定資産税等を負担できるだけの地代収入を、長期間確保できる。
  • 借入れが要らず、基本的に無借金の事業である。
  • 相続税対策として、土地の評価額を圧縮できる。

同じページは、問題点も書いています。住宅用地を戸建てやマンションで活用した場合は、多額の地代収入は期待できません。一般定期借地権なら50年以上、土地の利用が縛られ、更地に比べると土地の処分もしにくいという指摘です。

もう1つの特徴は、更地返還が原則という点です。国土交通省の別の資料(定期借地権を使った事業の調査)は、期間後にまだ建物が使える場合でも、壊して更地で返すのが原則になる点をデメリットに挙げています。そのうえで、借地借家法24条の建物譲渡特約を付け、建物を地主が買い取る方法で、この点を避けられるとしています。

建物譲渡特約付借地権は、設定後30年以上を経過した日に建物を地主に相当の対価で譲渡する特約を付けた借地権です。一般定期借地権とは別の仕組みなので、どちらで貸すのかを最初に決めます。

保証金・権利金・前払地代の違い

借地人から地主へ渡す一時金には、いくつかの種類があります。国土交通省の資料に出てくる言葉を整理します。

建物のない広い空き地
写真: JunK / Public domain(Wikimedia Commons)

表は左右に動かして読めます。

名称意味返還
保証金借地人の債務(賃料の不払い、期間満了時の原状回復など)の担保として土地所有者に預けるもの契約が終わったあと、通常は無利息で返す
権利金借地権の設定の対価として契約時に渡すもの返さない
前払地代各期の地代を、契約時にまとめて前払いするもの将来の地代にあたる。期間に応じて収入にする

国土交通省のページは、戸建ての定期借地事業では保証金方式が主流だと書いています。保証金には将来返す手間があります。権利金は、個人の地主の場合は一般的に不動産所得として課税されます。前払地代は、実体は権利金のようでも、地主は期間に応じて年ごとに収入に計上します。

国土交通省の定期借地権を使った事業の調査資料には、個人の地主が受け取る権利金の課税の目安も載っています。権利金が土地価格の50%を超える場合は譲渡所得(分離課税)、50%以下の場合は不動産所得(総合課税)です。同資料は、一時金の性格を契約書で明確にして、税務署へ確認することも勧めています。

地代や一時金の水準は、土地の場所や用途で変わります。国土交通省の調査の数値は古いものが多いため、この記事では金額の目安を載せません。実際の金額は、複数の事業者や不動産会社の提案で確かめます。

地代の見直しと契約書で決めておく点

地代は、借地借家法11条で見直しの請求ができます。税金などの公課の増減、土地の価格の変動、近くの似た土地の地代との比較で、地代が不相当になったときは、契約の条件にかかわらず、将来に向かって増減を請求できます。

岩手県一関市の公証役場が入る建物
写真: Ebiebi2 / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

ただし、一定の期間は地代を増額しない旨の特約があれば、その定めに従います。長い契約では、地代をいつ、どのように見直すかを、契約書で先に決めておく意味があります。

契約書で確認する点を、条文から整理します。

  • 存続期間は50年以上か。
  • 更新がないこと、建物築造による延長がないこと、建物買取りを請求しないことが、書面に書かれているか。
  • 一時金は保証金か、権利金か、前払地代か。返す場合の時期はいつか。
  • 地代の額と、改定の方法はどうなっているか。
  • 期間の満了時に、建物をどうするか(収去して更地で返すか、建物譲渡特約を付けるか)。

書面の作成を公証役場に頼む方法もあります。契約の内容は、弁護士や司法書士に確認してもらうと安心です。

活用案として比べるときの順番

一般定期借地権は、自分で建物を建てず、土地を長く貸す活用です。収入は地代が中心で、賃貸住宅を建てる場合のような建築費の借入れは要りません。一方で、建物の収益はなく、土地は50年以上戻りません。

比べるときは、次の順で考えます。

  1. 土地を手放さずに持ち続けたいか、長期間の貸し出しを受け入れられるか決める。
  2. 自分で建てる活用(賃貸住宅、駐車場など)の収支と、土地を貸す活用の収支を並べる。
  3. 貸す場合は、借地人になる事業者の提案を聞き、一時金の種類と地代の条件を確認する。

活用案ごとの収支は、複数の会社に活用プランを請求すると並べやすくなります。

プランの比べ方はプランの比べ方の記事に、使い道を選ぶ前に調べる点は相続した土地の使い道の選び方の記事にあります。

出典

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